雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(75話)

さっきの瞬くん、、、
何か怖かったな…


ぶつかったって何の話だろ…


気になって2人を追いかけたけど
見失ってしまった…


次の日。


瞬くんも学校に来ていた。


「あかねちゃん、後で話があるんだけど…
時間作れる?」


と、瞬くんに言われてあたしは首を
縦に振った。
笑顔だったけど少し冷たい目の瞬くんが
気になった。。


昼休み。瞬くんに呼ばれた先は…
嫌な予感はしてたけど…

「化学準備室で!」


お昼で外は明るいのに骨格模型とか置いてあって
少し気味悪い…


何となく寒気もするし…


少し遅れて瞬くんが入ってきた。


「昨日の…見たよね?」


入ってくるやいなや、こちらを見ずに言った。


見た…と言えば見たし…


瞬くんは返事に困ってるあたしを見て
下を向いてため息をついた。


「色々気になってるよね…
どこから話せばいいかな?」


あたしは咄嗟に言った。


「あの女の子!誰なの!?」


瞬くんは驚いた顔をした後
手で口を抑えてクスクス笑いだした。


え?何か変なこと言ったかな?


「その言い方、まるで俺が浮気してるみたいじゃん」


瞬くんはずっと笑っていた。


あ、聞き方がおかしかったかな…


瞬くんは笑い止むと、深呼吸して
あたしを見た。


「あの女の子は近くの高校の
元カノだよ。昨日別れたとこだけどね!
橋本 緑(はしもと みどり)って言うんだ」


高校って事は歳が近いのかな?


すると閉まっていた化学準備室の扉が
いきなり開いた。


「今…橋本って言ったよな?」


彰くんが瞬くんを睨み付けていた…

聞かれてた!?


瞬くんは驚いたようだったが、
やれやれと彰くんの方に振り返った。


「彰に聞かれるとまずかったんだよなぁ…」


「白馬…お前…何考えてるんだ!」


彰くんが走ってこちらに近付き、
瞬くんの胸ぐらを掴んで、そのまま瞬くんを
机に叩きつけた。


「っく…痛いよ、彰」


彰くんは瞬くんを離そうとはしなかった。


「橋本緑…確かぶつかった車に
同乗してた子供の名前だったよな!!
白馬…お前知ってて近付いたのか!」


え?親の事故の時の?


瞬くん、どういう事?
ってかたまたまなんじゃないの?


あ、でも好きじゃないみたいなこと
昨日言ってた気がする…

じゃあわざわざなんで?

白と黒の子守唄(74話)

次の日、学校に行くと
彰くんと鉢合わせした。


あ!そういえば…


「彰くん、昨日家に来てたんだよね?
何か用事でもあったの?」


すると彰くんは黙って教室に歩いて行った。


何かあったのかな?


教室へ行くと既にみんなも来てた。



午前中の授業も終わり、昼休み。


携帯が鳴った。
あ!メール…って彰くん?


『中庭に来て欲しい』


あたしは急いで中庭に向かった。


着くとベンチに彰くんが座っていた。


「呼び出してすまない…
少し話がある。」


彰くんを下を向いたまま言った。


「この前駅で瞬を見たんだ。
俺の知らない女子と歩いてたんだけど…
白馬の目がおかしかった。
橘なら、何か知ってるんじゃないか?」


そういうと顔をあげた。


それで家に来てたのか…


「実はあたしも知らないの…
気にはなってるんだけど…」


呼び出して聞いても多分またはぐらかされる。


すると、彰くんの元へ
後ろから何かがぶつかって来た。


「クロっちとたっちー密会現場発見!」


そこへ来たのは誠くんだった。


おっと…今このタイミングで…


彰くんは振りほどこうとはしないが
ため息をついていた。


「いきなりくっつくな…
あぶねぇだろ…」


誠くんは少し落ち込んだ顔で手をほどいた。


「クロっち何かあったの?
最近元気ないよ?」


誠くんは彰くんの顔を覗き込んだ。


彰くんは咄嗟に顔を逸らした。


「別に…何もねぇよ…
それにいつもと対して変わらねぇだろ…」


誠くんはそれを聞くと、
ホッとした顔で笑った。


「良かった…何も無くて」


誠くんは手を振って離れて行った。


なんかさっきの誠くんの一言…


気になる言い方だったな…


予鈴のチャイムがなって、
あたしと彰くんはその場から離れた。


午後の授業も終わり、
放課後駅へと向かって歩いた。


今日は剣司くん、他の友達と遊ぶって言ってたからな…


1人で帰るの何となく久々…


駅に着いて、あたしは普段行かない
反対側のお店をぶらり散歩してみた。


おぉ!何このカフェ!初めて見た!
可愛い…


今度剣司くん誘ってみよ!


あたしはそのお店を見てると、
後ろから女の人の声が聞こえた。


「待って、瞬!!
さっきの話どういうこと?
ちゃんと説明してよ!」


瞬…?


振り返ると瞬くんと、、

あ!あの女の人!!


瞬くんは遠くを見つめながら


「説明も何もそういう事…
なんで理解できねぇの?
そもそも俺が貴方に
興味持つわけないでしょ。」


冷たい…


女の人は相当苛立ってるみたい…


「何度も言わせないでよ!
向こうが勝手にぶつかっただけじゃない!
私が何したって言うのよ!
まさかそれが言いたくて
私に近付いたの?」


何の話?


ぶつかったって何が?


あれ?ヤバい…


瞬くんと目が合ってる気がする。


瞬くんはあたしの存在に気付いて
その場から離れて行った。


女の人は瞬くんの後を追って行った。

白と黒の子守唄(73話)

剣司くんの部屋に着いた。


あたしは少し気になった。


「海堂さんって管理人?」


って見えなかったんだよね…


たまたま出てきたって感じだったし…


「そうだろ!すげぇだろ!
前の管理人の孫だからとかなんとか…
なんでも相談できるし!」


お兄ちゃんって感じだね〜。


剣司くんは少し機嫌が悪くなった。


「もしかしてあかね…晋也さんに惚れた?」


いや、苦手だからそんな事ない…



勉強をしようとノートを広げると、
剣司くんは覗き込んできた。


あれ?気がついたら剣司くんメガネかけてた。


「あかね、ここの式…こっちじゃないか?」


あ!ホントだ。


ってかチラッと見ただけでよくわかったな…


「剣司くん勉強って不得意そうなんだけど…
よくわかったね。」


剣司くんは不思議そうにあたしを見た。


「不得意っていうか…めんどくせぇだけだな。
彰と瞬には勝てねぇけど別に問題ねぇし!」


あれ?もしかして…


「剣司くん…頭いいの?」


「ん?俺?良くはねぇよ、
学年3位とか言われたしな…」


3位!?


すごい頭いいじゃん!!



……結局ほとんど聞きっぱなし…


ノートに向かうあたしの顔を
剣司くんは覗き込んで来た。


「あのさ…勉強落ち着いた?」


あ!剣司くん退屈してたのか!


「ごめん、もう終わりでいいよ!
あと帰ってからやるから!」


剣司くんは笑顔になっていた。


「あ!そうだ!あかねから
してもらおうかな?」


ん?何を?


剣司くんは自分の唇を
指さした。


あ!


あたしは剣司くんにキスをしようとした。


あたしの携帯が鳴った。


電話…


「あかねちゃ〜ん!雨降ってきたから
お父さん駅まで迎えに行ってちょうだい〜!」


お母さん…


剣司くんごめんね…


「お父さん迎えに行ってくるね…」


あたしは帰ることにした。


玄関に行って、家を出ようとすると


「キス…今していい?」


こ、ここで!?


誰か来たらどうするの…


あたしは剣司くんと玄関でキスをした…


道でするのと違って、
すごい緊張した…


あたしは駅に向かって歩いた。


「あれ?何してんだ?橘!」


知らぬ間に彰くんとすれ違っていた…
駅前で傘を2本持っていた。


彰くんも誰か待ってるのかな?


「なぁ、橘!白馬見なかったか?」


いや、見てない来たとこだから、、、


そうか瞬くんを待ってたんだね。


駅から瞬くんが出てきた。


「おぉ!あかねちゃんも迎えに来てくれたんだ!☆」


いや、違います。


待ってません。


瞬くんはおもむろに
あたしに抱きついて来た。
耳元で小さな瞬くんの声が聞こえた。


「あかねちゃん、彰に何か言った?」


え?いや、何も…


するとあたしは瞬くんから剥がされた。


「お前ら、無駄にくっつくなよ…」


剥がしてきたのは彰くんだった。


「なんだよ〜、彰!ヤキモチかな?☆」


彰くんは何も言わず離れていった。

白と黒の子守唄(72話)

初めての剣司くんの家。


オートロック?付きの
高そーなマンション…


なんかホテルみたい…


入り口のとこには管理人室。
中から人が出てきた。
スーツ姿で、肩にかかるくらいまで
長い髪の男の人。背も高い…
なんかホストみたい。
あ!こっちに向かって歩いてきた。


「おぉ!剣坊、もしかして彼女か?」


剣司くんは慌てて口の前に
人差し指を置いた。


「しーーーっ!!
晋也さん!!声でけぇ〜っつーの!!」


「バカヤロウ!
胸張ってやんねぇと、
彼女さん可哀想だろ!
なんだ、そんなにヒソヒソと…」


その男の人は、剣司くんの元へ来ると、
剣司くんの肩に腕を回した。


「彼女さん!コイツ普段口悪ぃけど、
根はすっごくマジメなやつなんだ!
仲良くしたってくれよ!」


なんだこのチャラそうな人は…


こういう人ちょっと苦手…


「俺の名前は海堂 晋也(かいどう しんや)
って言うんだ。ここの管理人。
この部屋に居るからなんかあったら
呼んでくれや。」


あ、はい…


ってあたしここに住むわけじゃないし!
あんまり会わないでしょ!!


でも、自己紹介しとくべきだよね、、、


「は、初めまして、橘 茜といいます。
これから、よろしくお願いいたします?」


海堂さんは笑っていた。


「お願いしますが疑問形か…
剣坊と仲悪ぃのか?」


あ、そういう意味ではなく…


なんかめんどくさい人だなぁ…


あたし達はそのまま、エレベーターに向かった。


剣司くんは何故か楽しそうだ。


「晋也さんってカッケーだろ?
俺憧れてんだァ〜!」


あぁ、それで剣司くんも
肩まで髪伸ばしてるのかな?


「昔、あの人、この辺の悪ガキまとめてて、
リーダー的な人だったんだぜ!
すげーいい人!!」


確かに紳士ではないね…


剣司くんの家は15階建のマンションの12階。


何この景色!!


エレベーター上がった瞬間から
何やら、タワーに上がったような気分!!


こんな景色毎日見れるとか
どれだけ幸せなの!


剣司くんの家に入ると、優子ちゃんが
迎えに出た。


「お兄ちゃんおかえり〜!
お!彼女さんも来たんだ!!」


前に1回会ったっきりで、
何喋っていいかよく分からない…
でも結構フレンドリーな人だなぁ。
ゆきちゃん達と合いそう。


「優子!お茶とかいいから!
後で俺が取りに行くから!」


と優子ちゃんを、追い払うような剣司くん…


あたし達は剣司くんの部屋に入っていった。

白と黒の子守唄(71話)

気になる…


彰くんが怒ること、
あんまりなかったのに…


瞬くんは笑って言った。


「彰もあんなに怒ること無いのになぁ〜」


え?


「俺があかねちゃんの家に、
普通に出入りしてるって言ったら
剣司の気持ち考えろとか言ってさ、、」


あ、女の人関係無かった…


あたしの頭の中で勝手に
結び付けてただけだったのか…


早とちり…


瞬くんはふと気が付いた。


「そういえば彰なんの用事で来たの?
帰ってったけど…」


そういえば…


なんで来たんだろ…


携帯も何も入ってないし…


あたしは彰くんにメールした。


彰くんから返事はない…


すると剣司くんから電話。


「あのさ、今日暇?」


暇ですね…
勉強しようかと思ってたけど…


あ!そうだ!


「今から予習しようかと思ってたけど
一緒にする?」


剣司くんは無言だった。


勉強は嫌だよね…


「それならさ…こっち来る?」


剣司くんの家!!


何気に行ったことがない…


どうしよ…


「い、行ってもいいの?」


「え?いいよ。
あかねが嫌じゃなかったら…」


あたしは駅前で待ち合わせする事にして、
電話を切った。


横で瞬くんがソワソワしてた。


あ、瞬くん居たの忘れてた…


「今からデート?」


瞬くんはあたしの顔を覗き込んできた。


あたしは恥ずかしくて顔を逸らした。


「あかねちゃん、わかりやすいね!
駅前で待ち合わせして、どこに行くの?」


け、剣司くんの家とか言いにくい…


「内緒!!着いてきちゃダメだからね!」


瞬くんは考え込んでた。


「俺、駅に今から向かうとこなんだよねぇ〜☆」


着いて来る気満々!
何考えてんのよ!


あたしは瞬くんと一緒に家を出た。


ホントに駅まで着いてくるし…




駅前のベンチには剣司くんが座っていた。


「え?瞬!?
なんであかねと一緒にいんだよ!!」


剣司くんはちょっと不機嫌になった…


「俺結構あかねちゃん家に出入りしてるよ!
よく寝顔も見てるしね☆」


余計な事を言うな…


「で、瞬まで着いてくんの?」


剣司くんこっち見ようとしない…
すごい怒ってそう…


「まさか!このまま電車乗って帰るよ☆」


瞬くんは手を振って、駅に入っていった。


「ったく…あいつ何考えてんだよ!」


いつまでも不機嫌な剣司くん…


「ごめんね…着いて来ちゃって…」


剣司くんはあたしの顔を見ると
ため息をついた。


「いや、着いてきた事よりさ…」


剣司くんは言葉に詰まっていた。


どうしたんだろ?


「寝顔見たことあるってのがさ…
あかね、瞬にはもう何もされてないんだよな?」


あ、心配かけちゃってたんだ…


あたしは何も無いよと伝えると、
少し機嫌が戻った。


「俺の家、こっちだから。」


そういうと剣司くんは前を歩いていった。


しばらくすると立ち止まって振り返った。


「横、、、歩けよ…」


あたしが剣司くんの横に行くと、
剣司くんは静かに手を繋いで歩き出した。

白と黒の子守唄(70話)

朝起きて、ベッドでぼぉ〜っと…


やっぱり昨日の事が気になる…


瞬くんのあの顔…


今日は土曜で学校には行かないし、
瞬くんに直接…いや、それは辞めた方がいいね…


うーん、と悩んでると
部屋のドアが開いた。


「あかねちゃん!おはよ☆」


あたしは思わずビクついた。


ノックしてって言ってんのに…


「あれ?あかねちゃん、なにか考え事?」


考え事っちゃ…考え事。
あなたの事ね…はぁ…


「俺達、家族みたいなものなんだから、
なんでも相談に乗るよ!☆」


あたしは隠さず単刀直入に聞いた。


「昨日、また駅前で、
女の人と歩いてたよね?」


瞬くんからはさっきまでの
明るい空気が消えた。


「また見られちゃったか…
別に大した事じゃないよ!
その話、終わりにしないと…」


瞬くんの目付きが冷たくなった。


あたしはベッドの上で押し倒された。


「剣司の見てない隙に
あかねちゃん襲っちゃおうかなぁ…?」


冷たい視線…低い声にあたしは何も言えなくなった。


まるで金縛りにあったかのように
身動きが取れない。


瞬くんに笑顔が戻る。


「でも、ホントにあかねちゃんは
気にしなくていいよ。」


そういうと瞬くんはベッドから離れ、
部屋を後にした。


結局かわされたか…



しばらくすると玄関に声が響く。


あれ?今のって彰くんの声?


でもいまいち何を言ってるか聞こえなかった…


あたしは慌てて玄関に向かった。


そこには…玄関で立ち尽くしてる彰くんと
倒れ込んでる瞬くん!!


え?喧嘩…?


彰くんは瞬くんの胸ぐらを掴み起き上がらせた。


「お前…何やってるかわかってるんだろうな?」


彰くん…凄いキレてる…


彰くんは階段から降りてくるあたしに気付いた。


彰くんは瞬くんから手を離し、
家から出ていった。


瞬くんは切れた口元を手で拭い、
何も言わずリビングへ向かった。


あたしは瞬くんの後を追い、
口元を消毒してあげた。


「あかねちゃん、ほっといていいよ。」


瞬くんは笑って言った。


「ねぇ、彰くんも関係あるの?
あの駅の女の人。」


瞬くんは何も言わなかった。


何も言わないって事は、
あの女の人の話だったんだ…


彰くんを取り乱し、
瞬くんの目を冷たくさせる女の人…


いったい…何者なの…?

白と黒の子守唄(69話)

休み開けの学校は疲れる〜!


連日の授業にクタクタ…


夏休みがまだ恋しいなぁ…




放課後あたしは剣司くんと
帰った。


横に並んで歩くのには
少し慣れてきた。


ただ目の前にクラスの人が見えると、
少しドキッとして、剣司くんの後ろに
隠れてしまう…


「なんだよ、あかね!命でも狙われてんのかよ!」


剣司くんはわざとあたしの前から避けて、
笑っていた。


だって…やっぱり恥ずかしいもん…


駅の近くに来ると、
剣司くんは立ち止まった。


「あれ?瞬…だよな?」


見ると瞬くんが女の人を連れて…


あ!!


結構前に見たことある光景。


知らない女の人の横に瞬くん。


並んでデートのように見えるが、
瞬くんの目は笑っていないよう。


そういえば、あれは結局誰なんだろ…


女の人を見つめる瞬くんの目の冷たさに
少し怯えていた。


「瞬…あいつ何してんだ?
デート…じゃ、なさそうだよな。」


瞬くんはそのまま駅へ消えていった。


瞬くん…


前の家族の1件もあったけど、
他にもなにか言えない事があるんだろうか…


あたし達は瞬くんを見送った。


あたしは剣司くんと共に家に向かった。


剣司くんはさっきの瞬くんを凄く
気にしているようだった。


「俺、彰や誠に比べて
瞬と付き合い短いんだけどさ…
あいついつも明るくしてる分、
たまにあんな顔になると
ビビんだよなぁ…」


と言うと複雑そうな顔をして、
右手で前髪をあげた。


「瞬…俺らになにか言えない事があって、
悩んでたりしてるんだったら、
助けてあげられたらいいんだけどな…」


確かにあんな顔は少し気になる…


あたしも力になってあげられたらなぁ…


なんだかもどかしい…


仲良くなったとは言っても
あたしはほとんど知らない気がする…


ホントの瞬くん…


彰くんだとなにか知ってるのかな?




家に着くと、剣司くんは
優しいキスをしてくれた。


何度しても慣れないあたし…


今日も恥ずかしくて
キスのあと顔を逸らしてしまう…


「あかね、また照れた…
お前のそういうとこ、マジで可愛いって思うよ!」
剣司くんは笑顔で言った。


しばらく返事をできないでいると、
剣司くんも照れた…


「ま、まぁ、、俺だって慣れてねえんだよ…
そんなにあからさまに照れるなよ…
だけど、あかね見てると…
その…キス、したくなるんだよ…」


待って!それはすごい恥ずかしいんだけど!


どんな顔して、なんて言えばいいのよ!


あたしはそのまま玄関へ向かって歩いた。


後ろから剣司くんが叫んだ。


「あ!あのさ!
迷惑なら、もうしないから!
ちゃんと言ってくれよ!」


迷惑なんて思ったことない…


あたしも恥ずかしいだけ…


少し剣司くんが落ち込んでるように見えた…


あーもぅ!あたしは意を決して、
剣司くんに駆け寄った。


「剣司くん…ちょっと…」


あたしは剣司くんに少し前かがみになる様、
手招きした。


「ん?どした?」


剣司くんはあたしの顔に近付いて来た。


よし!今なら!!


あたしは勇気を出して、剣司くんの頬に
唇を当てた。


ダメ、恥ずかしすぎた…


剣司くんは何も言わない…


あたしは剣司くんの顔が見れなかった。


「あかね…それ、反則!!」


剣司くんはあたしを強く抱き締めた。


「俺、あかねの事好きなんだよ!
そんなことされたら、
なんか抑えが効かねぇ…っつうか、
なんて言うか…」


剣司くんはあたしを抱き締めたまま、
またゆっくりと唇を重ねてきた…


今度は口の中にまで…


掻き回される…


剣司くんはそっと唇を離すと、

「帰したく…無くなるじゃんか…」


と、照れて言った。


あたしはいつもそんな剣司くんの顔を見ると、
ホントにあたしの事好きで居てくれてるんだなぁ
って実感する…


だからこそ…



あたしは恥ずかしくてそのまま家に帰った…


帰っちゃった…


ごめんね、剣司くん…