雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(8話)

長野旅行2日目。

今日はみんなでカヌーにラフティング。
やだなぁ、水着…


一応ゆきちゃんには買い物付き合って貰ったけど…

照れる…


まずは朝食を食べて部屋で水着を着る。

みんなホントに可愛い!


恥ずかしいので上着は羽織っとこ。


男性メンバーと合流。

何故か上半身裸の、剣司くん。


目のやり場が…
やけに暑苦しい本日の剣司くん。
彰くんを睨みつけて、一言放つ。

「よっしゃ〜!彰〜!勝負だ、勝負!!」

「なんのだよ。カヌーはゆっくり乗るだけ。ラフティングに至ってはグループで乗るんだろ。」

「おい!逃げる気かよ!汚ねえぞ!!」

彰くんは呆れた表情でその場を去った。
それを追う、剣司くん。


初のカヌー。


まず水の上で船に固定された状態。
すっごい不安。

右側をゆっくり漕ぐと、、、
転覆…

あぁ、もうイヤ!


「あかねちゃん、大丈夫?ほら、手出して。」
白馬くんに救われた。

すると森野くんが
「橘どんくせ〜!あっちで2人乗りあるから
一緒に乗ってやろうか?」
と少し離れた所を指さす。

あたしが乗ったところで、
剣司くん巻き込むだけな気がする…


「おい、右力入れすぎ!
まずは水面撫でるくらいって言われたろ!」

あれ、そうだっけ?
優しく漕ぐと次は左側。

凄い!前に進めた!

「やれば出来んじゃん!ほら、スピードあげるぞ!」

結構楽しい!この体験初めてだ!
あたしはそのまま、しばらく剣司くんと
カヌーを楽しんだ。


次は勢いのある川でラフティング。

6人乗りの楕円形?のボートに両側に座る。

パワーバランス上、あたしの前に剣司くん、
後ろに瞬くん。
反対側は彰くん、ゆきちゃん、カンナちゃん。


気合いが入って拳に力が入る。
それを見たカンナちゃんが
「あかね!そんなに力んだらまた落ちるよ!」
と、笑っていた。

カヌーの時やっぱり見られてたか…

いざ始まるとカヌー程の安定感は無く、
振り落とされそうになる上下の揺れ。

浮いたあとの着地は少し怖かったけど、
水しぶきが気持ちよかった。

すると後ろから
(ドボンっ!)

あれ?剣司くん消えた…

バランスを崩した剣司くんが落ちた。
手を伸ばすけど、あたしの力では上がらない。
どうしよ…

するとそれを見た彰くんが
「橘、森野は落としても泳いで帰れるから
お前落ちないように手離しとけよ。」
と悪い笑みを浮かべてた。

「おいー!彰、さすがに無理だぜ?
どっかの岩にぶつかったら可哀想って思うだろ?」

このやり取りにゆきちゃんが痺れを切らした。
「もぅ!早く上げないとゆき達置いてかれてるよ?助けてあげてよ!」
と不貞腐れた顔をしていた。

その後彰くんと瞬くんで救出。

無事にゴール地点へとたどり着いた。

ゴール地点で、ブルーベリーアイス。


凄い味が濃かった。


夜にはキャンプファイヤーが行われた。
明日には帰るんだよな…
なんか寂しい気がする。

キャンプファイヤーと言えば、
まさかの先生何も企画なし。

パチパチと燃える音を聞きながら。
虫達、風、木々の音。
自然の音を耳で体で感じていた。

これはここでしか味わえない、
何もしないけどいい気分。

突然誠くんが声をあげる。
「あ!そうだ!クロっち、シロっち!アレやってよ!」

2人は誠くんから目を逸らした。


アレってなんだろ…


するとクラスの女子達も
「え?聞きたい聞きたい!
今だとアカペラ?いいじゃん!」


アカペラ?

彰くんは仕方無さそうに立ち上がる
「1回しかやらねぇから
しっかり聞いとけよ!」

瞬くんと顔を合わせ、目で合図をし
息を整えた後に、ここが別世界となった。

男性2人のアカペラのアメージンググレイス。

低い彰くんの声をかき消さない、瞬くんの高い声。
2人の声が心に響く。
周りのみんなもその声に酔いしれる。

「凄い恥ずかしい…中学の合唱コンクール
以来だね」と照れながら瞬くんは言った。

彰くんは何も言わず無言でしゃがみ込んだ。

そっか…みんな中学で聞いてたんだね。


そのまま部屋に戻って、
布団に入る。

しばらくすると
「あかね、まだ起きてる?」

カンナちゃんがあたしに声をかけてきた。

「ちょっと頼みたい事があるんだけど…」