雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(38話)

「あぁ、これ」


剣司くんがカバンから
梱包された小さな袋を
あたしに差し出した。


あれ?なんでこっちに?


「要らなかったら妹にやるけど?
開けて見たら?」


あたしは袋の口を丁寧に剥がした。


中からは最後のお店で見た、
うさぎのヘアピン。



嘘!これ1個1200円だよ!
こんな高いの受け取れないよ!


「俺が買いたかったのはあかねの欲しがってるもの。
でも何が欲しいかわかんねぇし、
店回ってんのに欲しいもの無かったとか言うし。
でもそのピン触ってる時が1番楽しそうだったから
それが欲しいんじゃないかな?って思って。
どうしても要らねぇって言うなら返していいよ。」


いや、欲しいです!
でもいつかお金お返ししないと…


「お金返すの凄く先になるけどいいの?」


「は?返す?
それはプレゼントなんだから返すなよ!」


剣司くん、ありがとう…
なんか機嫌悪いけど…


「で!!」


何よ、いきなりでかい声で…


で?


ちょうどパフェを持ってきてた店員さんも
横で驚いていた。


危ない…パフェセーフ…


「それ貰って今どんな気持ち?」


なんで怒ってんのよ〜。


「嬉しいよ、凄く…」


このピン欲しかったし…


「朝俺が妹と来た時、
どう思ったわけ?」


喧嘩口調…


「別になんとも…」


「胸が苦しいとか、なんか嫌気分になったとか
悲しくなったとか思わなかった?
正直に言えよ!!」


「胸が苦しくなりました…
あと腕組んでたのも嫌だなぁって
思って見てて、買い物の日
間違ったかなって思って帰ろうとしたり…」


そう言うと、剣司くんはホッとした顔をした。


「最後に、俺になにか言うことありませんか?」


なぜに敬語…


「いや、、特に。」


今何言えばいいの?
なんか言うとこなの?


「そろそろ気付けよ…マジで…
俺に言わせんなよ…」


分からないって…


アクセサリーありがとう?
いや、それさっきから何回も言ってる…


今日案内してくれてありがとう?
それは帰る時でいいよね、
今言わなきゃいけない事じゃない。


剣司くん…何言えばいいのぉ〜?