雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(42話)

あれ?瞬くん…じゃない?


黒の帽子に黒いパーカー、
でも見えてるこの金色の髪は…


「瞬くん…だよね?」


その少年は、人違いです。
とだけ答えて去って行った。


声もちょっと違ったかな。


さっきの子…
あたしの家をじっと見てた気がしたんだけど…


なんだったんだろ…


明日剣司くんや彰くんに相談してみようかな…




次の日。


あたしは彰くんと剣司くんを
レストランに呼び出した。


「なんで彰も来るんだよ〜!」


剣司くん、ごめん。
今日はいて欲しいの。


「知らねぇよ。来てくれって
メール貰っただけだからな」


あたしは昨日家の前であったことを
(瞬くんに似てる事は伏せて)
2人に話した。


彰くんは考え込んで、
剣司くんは…キレた…


「は?それストーカーじゃねぇかよ!
なんで捕まえた時に電話しなかったんだよ!」


静かにしてー!
ここレストラン…


「いや、相手が凶器とか隠し持ってたのだとしたら、
むやみに携帯を取り出すのは危険すぎるだろ…
橘が警察に電話すると勘違いして
怪我をした可能性もある…」


彰くんは至って冷静。


警察に相談するべきなのかな…


「だったら今日あかねの家に
張り込めばいいんじゃね?
誠と瞬も呼んで4人なら捕まえられるだろ!」


「確かに警察は事件性がないと動かないって
聞いた事がある。見てただけなら危害を
加えるかは判断できないからな。
ここは1晩様子を見るか…」


剣司くんは誠くんと瞬くんに電話しに行った。


いや、瞬くん…


言い出せない…



しばらくすると、瞬くん、誠くんが到着。


彰くんが経緯を説明した。


「たっちーのピンチなら僕たちが助けるよ!」


「そうだね!このメンツなら撃退できるね☆」


2人とも乗り気だ…


やっぱり瞬くんじゃ無かったのか…



その夜みんなとあたしの家に…


あ、運悪くお父さんもう帰って来てる…


お母さんには、友達を連れてきたとだけ
伝えた。


「俺、挨拶とかちゃんとすべきかな…」


剣司くんが緊張していた。


彰くんが先頭に立ち、お母さんに挨拶をした。

「初めまして、私は黒川彰と申します。
こちらが白馬瞬、山神誠です。
いつも橘さんにはお世話になっております。
夜には帰りますので、御夕食などは
お気遣い不要です。」


丁寧だな…


あれ?剣司くんの挨拶は?


彰くんは剣司くんの横に立った。


「お前の紹介は俺がすべきではないだろ。
自分でちゃんと言えよ。」
と剣司くん言って、肩をポンっと叩いた。


「あ、あの、、、あかねさんと
お付き合いさせて頂いております、
森野剣司と申します。
よ、よろしくお願いいたします。」


お母さんは驚いた。


そりゃそうだよね。


初めてクラスメイトがうちに来たと思ったら、
男ばっかで1人は彼氏だもんね…


「え?あかねちゃん彼氏居たの!?
なんで言ってくれなかったのよ〜!
お祝いしなくちゃじゃないの〜!」


「あ、いえ、今日は、その
夏休みの宿題をまとめてやりたくて
時間無いので、また今度
お邪魔させて頂きます。」
剣司くん頑張れ…


あたしは4人を連れて、2階の部屋に向かった。


6畳の部屋にベッド。
勉強机と小さなテーブルが1個。


どうやって勉強すんのよって感じだよね。


剣司くんはカバンから紙を取り出した。
宿題!ほんとにやるの?


「彰、このくらいでいいよな?」


剣司くんは彰くんに確認すると
あたしの勉強机と小さいテーブルに
プリントを広げた。


「これならもし、途中で親が来ても
怪しまれないだろ…」

彰くんの案か…


確かにこれなら、誤魔化せるかも。


あたしは窓から、男の子が立ってた場所を
4人に教えた。


今日はまだ来てない…


昨日なら来てた時間だ…


誠くんはあたしを見て、
横に座った。


「モーリー?今日はたっちーと
イチャイチャしちゃダメだよ?」


剣司くんは照れて背中を向けた。


「当たり前だろ!今日は何しに来たんだよ!」


するとお父さんが部屋に来た。


「あかね、彼氏を連れてきたんだって?
ちゃんと紹介しなさい!」


怖いよぉ〜お父さん。


今にも剣司くんに殴りかかりそうですよ…


「で、どの子なんだね」


お父さんは4人の顔を見渡した。


お父さんの顔が青ざめて行く。


「お前は、、、アキラか、、、」


「え?」


彰くんも思わず返事をした。


でも、お父さんが、向いてるのは
彰くんじゃない…


「やだなぁ〜あかねちゃんのお父さん!
僕は白馬瞬です!黒川彰はそっちの子ですよ!」


瞬くんは笑顔で答えた。


お父さんは息を飲み、部屋を後にした。


お父さん?


廊下を歩くお父さんを見送った。


「橘!!アレじゃないのか!!」


彰くんが外を指さして
叫んだ。


電信柱の影に…黒い帽子と黒いパーカー!!


あの子だ!!


「俺が行ってくる!何かあったら
警察に電話して!」


瞬くんがそういうと部屋を飛び出した。


瞬くんじゃなかったんだ…


疑ってごめん。


外の男の子は異変に気付いたようで
走って行った。


瞬くんはその後追って追いかけた。