雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(51話)

一同唖然とする。


え?離婚?


お母さんは慌てた
「修一さん、どういうこと?
あかねちゃんはどうするの?」


お父さんはお母さんの前に立った。


「元々、あかねが20歳になり、成人式をむかえたら
全てを話し、離婚届を貴子さんにお渡しするつもりでした。
多少時期が早くなりましたが、早かれ遅かれ
結果は同じですよ。」


そんな、急過ぎるよ…


瞬くんは慌てて立ち上がった。
「もしかして、俺が…騒ぎを起こしたからですか?」


お父さんは瞬くんの頭に手を置いた。
いづれこの日は来ると思ってましたから、
白馬くんはそこまで責めないで。」
と、笑顔で言った。


「この家の名義も、今ある財産も、
この家族の為に用意したもの。
これらは全て貴子さんとあかねに譲ります。」


お母さんは立ち上がって叫んだ
「なんでそんな勝手に決めるんですか!
私の意見は何も聞いて貰えないのですか?」


お父さんが真剣な顔になった。
「なら、あなたは先程私が人殺しだと、
女性を抱いたと聞いて、何も思わなかったとでも?
あなたを傷付ける事しか出来ません。
私と居ると苦しくなると思います。
あなたに譲ったものは全て自由にして下さい。」


お父さんは部屋を出ようとドアの方へ歩いた。
「修一さん、あなたプロポーズで
なんて言ったか覚えてますか?」


お父さんは、お母さんの方を向いて、
「結婚して下さい。でしょ?」
と、不思議そうに言った。


お母さんは反対側を向き、
「ひどーい!さっちゃんとした事は
ずっと覚えてるのに、プロポーズ忘れちゃうなんて!」


お父さんは右手をおでこに当てて考えていた。


お母さんが笑顔で言った。
「私の人生全て差し上げますので一緒にいて下さいでしょ!」


お父さんは思い出したようで恥ずかしそうに口元を手で隠した。

「私は土地も財産も、あなたの人生ももらってます。
私が貰ったあなたの人生をどう使うかは
私の勝手ですよね?」


お母さん、すごーい!
かっこいい!!


「今度は私からもう一度言いましょうか?」
お母さんはお父さんを下から覗き込んで言った。


「……もう、好きにして下さい!
後悔しても責任者取りませんよ!」


お父さんは顔だけ後ろに向いた。


凄い恥ずかしいんだ…



ソファの方から声が聞こえた。


「あの、あかねのお父さんとお母さん!」



剣司くんがソファで立ち上がっていた。


「俺、あかねさんとお付き合いさせて頂いております
森野剣司って言います。」


お父さんはいきなり険しい顔になる。


「そうか、なら、別れなさい。」


は?


今なんて言ったー?


「お父さん!!さっきまでいいひとって思ったのに!
意気地無しーーーー!」


するとお父さんが笑顔で剣司くんに向かって歩いていった。


「君は?何か言いたいことありますか?」


剣司くんはお父さんが前に来ても
変わらず目に力が入っていた。

「別れません。俺はあかねの傍に居るのが
正解だと思ってます。もし、反対されてるの
でしたら、認めて貰えるように頑張ります!」


お父さんは思わず笑った。


お父さんは剣司くんを抱き締めた。


え?


剣司くんも驚いている。


お父さんは剣司くんに小さい声で言った。
「娘のこと、よろしくお願いします」


剣司くんは凄い笑顔になった…


そんなにお父さんとのハグ良かったのかな…?


お父さんとお母さんは部屋に帰って行った。


「剣司、ごめん」
瞬くんが剣司くんに謝った。


「そう簡単には許さねぇよ、
俺もやってないような事やったわけだし…」


瞬くんはそれを聞くと、視線を上にあげた
「それって、舌を入れたキスのこと?
それとも服を脱がせたこと?」


ちょっと!瞬くん!何言うのよ!


「あかね?」
剣司くんの笑顔が怖いよ…


「お二人さんとっとと上に行ってこいよ」
彰くんがボソッと言った。


剣司くんはあたしの腕を引き、
上に連れていった…