雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(55話)

出会いは高校1年の春…


五十嵐家のご令嬢である
さっちゃんこと、五十嵐皐月。


昔からの幼なじみ。


物腰柔らかくてまさにお嬢様!って感じの、
私と友達なのが奇跡くらいの子。


その頃私は結婚前で、桐島貴子って言う名前で
ごくごく普通の家庭で毎日特に
不自由無く過ごしてたの。


私は昔から学校の図書館が
色んな本が読めるし、
ゆっくりした時間が過ごせるし、
私とさっちゃんは
よく一緒に図書館に行ってたの。


そんなある日、私達の席の近くに
男の子が来たの。


その時まだ喋った事もなかった、
橘修一さんさん。


「ここの席、使わせてもらってもいいですか?」


修一さんの声を初めて聞いたのが
その時。


みんな声もまともに聞いたこと無くて、
恐れられてたの。
もちろん、私も怖がってた1人。


さっちゃんはそんな修一さんに
「どうぞ、恐らく誰も座りませんので」
と笑顔で答えた。


修一さん曰く、その時がさっちゃんに
一目惚れだったんだって。


それからしばらくして2人は
お付き合いを始めたの。


私も含め3人でよく遊んでいたのよ。


でもどこかしら、私は
その場から逃げたい気持ちで居たの。


そう、実は私も惚れてしまっていたのよ。


昔から入退院を繰り返してたさっちゃんには
幸せになって欲しかったから、
私は修一さんの気持ちを忘れる事にしたの。


2人はいつ見ても幸せそうだった。


時折咳き込むさっちゃんに
修一さんは優しい手を差し伸べてた。


この2人は結婚するのかな?なんて
高校生にも関わらずそんな目で
毎日見てたの。


それから1年が経った高校2年の夏。


体育の授業中のこと。


私と修一さんはバスケをしていて、
さっちゃんは涼しい場所で見学していたの。


修一さんが足を捻って、コケてしまった。


その時駆け寄ったさっちゃんに
見えてなかった男子のボールが飛んできて、
さっちゃんに当たり、さっちゃんは
そのまま倒れて意識を失ってしまったの。