雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(62話)

お母さんの話が終わった…。


普段の生活見てると、
お母さんの方が溺愛かと思ったけど、
お父さんの方が惚れてたんだな…


「それから私たちは2年後結婚したのよ!
そこまではちっさなマンションに2人暮らしでね…
今みたいなこんな広い家に住むなんて
思っても無かったわ!」


でも今の話を聞いて思ったのは、
お父さんがなぜ皐月さんに結婚してから会いに行ったのか、
お母さんはなんでそれを許せたのか…


瞬くんは話を聞きながら下を向いていた。


「俺…正直、あかねちゃんのお父さんの話を聞いた時、
産まれてきて良かったのかとか、
俺が居ていいのかとか思ったりもしたんですが、
お母さんが産んでくれて良かったって、
思えるようになりました。」


お母さんは瞬くんを優しく見つめた。


「私もね最初に聞いた時はびっくりしたけど、
きっと私や修一さんに会わせるために、
さっちゃんが残してくれたんだと思ったのよ。
瞬くんの事、私は大事な家族の1人だと
思っていたいのよ。」


瞬くんはまた泣きそうになっている。


お父さんがリビングに帰ってきた。


「話は終わったか?やけに長かったな。」


お母さんはニタニタ笑いながら
お父さんを見た。


「だって〜お父さんの私への愛を語るには
時間がかかってしまってねぇ〜」


お父さんは今でも惚れてるのかな?


お父さんはお母さんの横に座った。


あれ?顔赤い…


「どんなくだらない話をしたか知らんが、
俺は皐月さんと瞬くんの話で、
正直、見放されると思った。
俺に皐月さんへの未練が無かったといえば
嘘になるからな…」


お母さん優しくお父さんの背中を叩いた。


お父さんは顔をお母さんと反対側に逸らした。


「貴子さん…その…まだ私の横に居てくれて、
………ありがとう。」


やっぱり気になる〜!


「お父さん!お母さんの事どのくらい好きなの?」


お父さんとお母さんは驚いた。


お母さんはワクワクしていた。


お父さんはやれやれと肩を落としていた。


何かを言おうとしたが
お父さんは口に手の甲を当てた。


「………すごく綺麗な、初日の出を見た時…のような…」


何が言いたいの!!


よく分からないじゃん!


お父さんは立ち上がって歩いて行った。
リビングのドアの前に立ち止まった。


「言葉にできないって意味だ!」


といって部屋を出ていった。


照れてるけど、お父さんすごくお母さんの事
好きなんだな…


そんな2人の間にあたしが産まれたのは
凄く幸せな事なのかもしれない!


と、瞬くんはあることに気づいた。


「さっきの話で行くと、さっきの浴衣には
お2人をご結婚に導いた、最初のプレゼントって
意味がありましたよね?」


あ、、、そうなるね…


え?待って!!


あたし剣司くんとの花火大会に
そんなの着ていくの?


お古なのは別にいいけど…


何やら重たい物が肩にのしかかりそうな
そんな浴衣だなと思った。