雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(63話)

花火大会当日。


あたしはこの重っ苦しい浴衣に袖を通す…
何を隠そうこの浴衣にはお父さんとお母さんの
思い出が詰まっている。


これが桐の花かぁ…


しかし剣司くんとのデートに着ていくのは
気が引ける…


スーパーで買ったやつとかで
良かった気がする…


まぁ節約か…


あ!そうだ!


あたしは引き出しを開けて
ヘヤピンを出した。


前に剣司くんに買ってもらったヘアピン!
付けて無くすのもったいなくて
なかなか付けれなかったんだよね〜。


家を出て、待ち合わせ場所に向かった。


相変わらず30分前くらいだが、
剣司くんも既に待っていた。


私服…


あ、やっぱり私服の方が良かったか…


剣司くんは近付くあたしに気付くと、
顔を逸らした。


「あかね、、、その浴衣可愛いじゃん、、、」


ありがとうそう言ってくれて。
あたしはすげー重たいのよ…


2人で待ち合わせ場所から
会場に向かった。


人多いよ…


みんなそんなに虫の餌食になりたいのか…


変わってるなぁ…


あたしは屋台に目がいく。


お、美味しそう…


剣司くんは何かを発見した。


「あ!あかね!ちょっとここで待ってて!」


剣司くんはどこかに走って行った。


人混みで置いてかれてもなぁ。


近くの木のところで待つことにした。



しばらくすると剣司くんが何かを持って
帰ってきた。


「ほら!あかね好きだろ?
鉄板で作る焼きそば!」


好き!!


あたしはその場で開けようとした。


「おい!こんなとこで食ったら
浴衣にこぼれるかもしれねぇだろ!」


と言って剣司くんは私の手を引き
どこかへ連れていった。


しばらく歩くと椅子が置いてあった。


「こういうもん食うとこあるから、
こういうとこ探して食うもんだろ!」


知らないもん…


剣司くんはあたしの向かいに座り、
肘をついて横向きに座った。


あたしは焼きそばを食べていた。


美味しぃ〜!!


あれ?剣司くん何も食べてない。


「剣司くん何も食べなくていいの?」


と、聞くと、
「じゃあそれちょっとくれ!」
といった。


え?でもお箸は1膳しかない…


どうしたらいいんだろ…


剣司くんはあたしに手を差し出した。


「その箸貸して!それで食うから!」


あたしはお箸と焼きそばを渡した。


剣司くんは美味しそうに食べてた。


「これ、うんめぇ!!
俺のも買っときゃ良かったな…」


まさかあたしの分しか買ってこないとは
思わなかったもんね…


剣司くんは箸を止めて、
何故か俯いた…


「これじゃ、出来ないじゃん…」


何をだろう…


あたし達は焼きそばを食べ終えて、
他の屋台を見て回った。