雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(17話)

夏休みが始まった。


明後日には海〜!


今日は特に用事もない


夏休みの宿題に少し手をつけ、
夕方家族から買い物を頼まれた。


商店街へ


やはりこの時期家族連れなどで
賑わっていた。


買い物をする人たち、
家族で食事をする人たち…


みんな楽しそうだなぁ〜



スーパーへ行くと、

「あれ?たっちーも買い物?」

後ろから誠くんが声をかけてきた。


重たそうな籠の中には
お野菜などがびっしりと詰まっていた。


重たくないの?と尋ねると


「へーきへーき!いつもこのぐらいだよ!」

と、笑顔で答えた。



「僕の家ね、弟達がいっぱいいるの!
お兄ちゃんだから頑張らないとなんだ!」


誠くんを見てると凄く賑やかな
家庭なんだろうなぁ〜と、
微笑ましく思えてくる。


あたしも買い物を済ませ、


2人で商店街を歩いていた。

横でよいしょ、よいしょと
小さな声を出しながら歩いてる誠くん。


どうしよ…すごく可愛い…


重たい買い物袋2つを両手に抱えている。

「あたし荷物少ないし途中まで
片方持ってあげるよ!」

と言うと、誠くんは大丈夫と、笑顔で答えた。


しばらくすると、前に見覚えのある人が。


前に誠くんをいじめてた人だ!



誠くんも気付いたようで、
軽く目を逸らした。


向こうもこちらに気付き、
あたし達の方へ、向かってきた。


「あれ?山神じゃん!」


誠くんは少し気まずそうに、
顔を向けた。


「山神って家近所だよな。
1個荷物持つよ!」


あれ?案外普通だなぁ。


でも誠くんは、
「持てるってば!触らないでよ!」

と、思わず声をあげた。


すると、その男の子は
「前のこと、許して貰えるとか思ってないけど、
山神の事、ちゃんと見なきゃって思ったんだよ。
信用して貰えないのわかってるけどさ」

と、少し下を向きながら話した。


誠くんは意外そうな顔で男の子を見つめた。
「じゃあ、こっちの方が軽いから
これ、持ってくれる?」

目を逸らしたままだったが、
誠くんは男の子に袋を差し出した。


「バカじゃないの?
俺の方が力あるんだし、
こっちは山神持てよ!」

そういうと、袋を交換し、
男の子は並んで歩いた。

「そっちも重たかったら言えよ?
俺2個でも持てるから。」


誠くんはその子の顔に向かって
「ありがとう。また良かったら
前みたいに僕の家に遊びに来てよ。
弟達、ゲームの相手探してるから!」

と笑顔で言った。

「あれさ、最新出たの俺買ったけど、
今度持って行くからやろうぜ!」
男の子も楽しそうに言った。


2人が仲直り出来て良かったなぁ。


と微笑ましく家に帰った。