雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(23話)

次の日。


和也は学校に来た。


左手には包帯がついていた。


相変わらず誰も和也には近付こうとしない。


俺がおはようと、声をかけると
笑顔でおはようと返してくれるのは
嬉しかった。


体育館横で今日も弁当。


教室に戻ると、和也の机の中の教科書が
ボロボロにされていた。


「誰だよ!和也の教科書に
こんなことした人!」


みんな何も言わなかった。

和也は黙ってその教科書を広げ、
授業を受けた。


待てよ…


先生今の教科書見て何も言わねぇのかよ。



そのまま何も無く授業は終わった。


いや、さっきのおかしくね?


俺は放課後、和也を送る事にした。


「なぁ、和也。
俺さ、犯人探しする。
前の靴の件と今回の教科書のやつ。」

和也は難しそうな顔をして、
「剣司くんは何もしなくていいよ。」

そう言っていつもの笑顔を見せた。


次の日。

今度は和也の筆箱の鉛筆が全ておられていた。


日に日に酷くなってる気はする。


俺は休憩時間に和也に言った。

「もう先生に相談しよ。
これは酷すぎるよ。」

すると和也は
「先生は生徒達の問題に口出せないんだって。
親が訴えに来たとかなら動けるけどって。」

なんだよそれ…


あの親が和也のために動くと思わない…


だから何もできないってわけか…



「俺は和也の味方だからね!
何かあったら俺話聞くから!!
話聞くくらいしか出来ないけど…」

「剣司くん、ありがとう!
僕、それ聞けただけで凄い幸せだよ!」


和也の笑顔はいたたまれなくなる。


「明日、僕、学校でみんなに言う!
だから剣司くんは横で応援してて。」

和也は何かを決意した。

次の日。

登校してきたみんなを前に和也は立ち上がった。

「誰か知らないけど僕に
何か言いたいことある人るの?
物ばっかり傷付けるなら何か言ってよ!」


俺は横で和也の手を握っていた。

言い終えた和也はその手を強く握り返してきた。


誰も何も言わない。


和也の発言はチャイムで遮られ、
不発に終わった。


どうすればいいのか…


休憩時間、俺はなかなか箸が進まない。

その様子を見ると和也は
「剣司くんどうしたの?食べないの?」

それどころじゃねぇじゃん。


俺は結局ほとんど食べられなかった。


教室に戻ると、、、あれ?


俺の教科書がボロボロになっていた。


今度は俺か…


あ、これなら和也助けられんじゃん。


和也の方を見ると、
うずくまっていた。

気になって俺は和也の所へ…


血…



和也の机に血が垂れていた。


和也の体を起こすと指に鋭い切り傷がついていた。


酷くなったって騒ぎじゃない…


和也は黙って保健室へ向かった。


俺は和也に自分の教科書の話はしないように決めた。