雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(69話)

休み開けの学校は疲れる〜!


連日の授業にクタクタ…


夏休みがまだ恋しいなぁ…




放課後あたしは剣司くんと
帰った。


横に並んで歩くのには
少し慣れてきた。


ただ目の前にクラスの人が見えると、
少しドキッとして、剣司くんの後ろに
隠れてしまう…


「なんだよ、あかね!命でも狙われてんのかよ!」


剣司くんはわざとあたしの前から避けて、
笑っていた。


だって…やっぱり恥ずかしいもん…


駅の近くに来ると、
剣司くんは立ち止まった。


「あれ?瞬…だよな?」


見ると瞬くんが女の人を連れて…


あ!!


結構前に見たことある光景。


知らない女の人の横に瞬くん。


並んでデートのように見えるが、
瞬くんの目は笑っていないよう。


そういえば、あれは結局誰なんだろ…


女の人を見つめる瞬くんの目の冷たさに
少し怯えていた。


「瞬…あいつ何してんだ?
デート…じゃ、なさそうだよな。」


瞬くんはそのまま駅へ消えていった。


瞬くん…


前の家族の1件もあったけど、
他にもなにか言えない事があるんだろうか…


あたし達は瞬くんを見送った。


あたしは剣司くんと共に家に向かった。


剣司くんはさっきの瞬くんを凄く
気にしているようだった。


「俺、彰や誠に比べて
瞬と付き合い短いんだけどさ…
あいついつも明るくしてる分、
たまにあんな顔になると
ビビんだよなぁ…」


と言うと複雑そうな顔をして、
右手で前髪をあげた。


「瞬…俺らになにか言えない事があって、
悩んでたりしてるんだったら、
助けてあげられたらいいんだけどな…」


確かにあんな顔は少し気になる…


あたしも力になってあげられたらなぁ…


なんだかもどかしい…


仲良くなったとは言っても
あたしはほとんど知らない気がする…


ホントの瞬くん…


彰くんだとなにか知ってるのかな?




家に着くと、剣司くんは
優しいキスをしてくれた。


何度しても慣れないあたし…


今日も恥ずかしくて
キスのあと顔を逸らしてしまう…


「あかね、また照れた…
お前のそういうとこ、マジで可愛いって思うよ!」
剣司くんは笑顔で言った。


しばらく返事をできないでいると、
剣司くんも照れた…


「ま、まぁ、、俺だって慣れてねえんだよ…
そんなにあからさまに照れるなよ…
だけど、あかね見てると…
その…キス、したくなるんだよ…」


待って!それはすごい恥ずかしいんだけど!


どんな顔して、なんて言えばいいのよ!


あたしはそのまま玄関へ向かって歩いた。


後ろから剣司くんが叫んだ。


「あ!あのさ!
迷惑なら、もうしないから!
ちゃんと言ってくれよ!」


迷惑なんて思ったことない…


あたしも恥ずかしいだけ…


少し剣司くんが落ち込んでるように見えた…


あーもぅ!あたしは意を決して、
剣司くんに駆け寄った。


「剣司くん…ちょっと…」


あたしは剣司くんに少し前かがみになる様、
手招きした。


「ん?どした?」


剣司くんはあたしの顔に近付いて来た。


よし!今なら!!


あたしは勇気を出して、剣司くんの頬に
唇を当てた。


ダメ、恥ずかしすぎた…


剣司くんは何も言わない…


あたしは剣司くんの顔が見れなかった。


「あかね…それ、反則!!」


剣司くんはあたしを強く抱き締めた。


「俺、あかねの事好きなんだよ!
そんなことされたら、
なんか抑えが効かねぇ…っつうか、
なんて言うか…」


剣司くんはあたしを抱き締めたまま、
またゆっくりと唇を重ねてきた…


今度は口の中にまで…


掻き回される…


剣司くんはそっと唇を離すと、

「帰したく…無くなるじゃんか…」


と、照れて言った。


あたしはいつもそんな剣司くんの顔を見ると、
ホントにあたしの事好きで居てくれてるんだなぁ
って実感する…


だからこそ…



あたしは恥ずかしくてそのまま家に帰った…


帰っちゃった…


ごめんね、剣司くん…