雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(39話)

あたしはずっと考え込んだ…


「パフェ食わねぇと溶けるぞ…」


あっ!忘れてた!


上のソフトが溶けて、
入れ物から溢れそうになっていた。


考えてても思いつかないし、
先にパフェ食べるか…


パフェを食べ始めた頃、
剣司くんが話出した。


「俺さ、最初あかねの事存在すら知らなくて、
彰や瞬と話してるの見て、
あぁ、あんなやつ居たんだ、ぐらいに思ってて、
長野の時、カヌーでひっくり返ってるの見て
うわぁコイツだっせぇって面白くて、
一緒に誘ったら普通に乗ってくるし、
ゲームすげぇ下手くそなのに、なんか
必死に画面釘付けになってるし…」


何やらクスクス笑いながら話続けていた。
ダサくて悪かったなぁ!もう!


剣司くんは真顔に戻り話を続けた。


「でも誠がボロボロになった時、
あかねがあと追って来てさ、
なんか話したくなってしまって、
その後、俺泣いてんのに
あかね傍に居てくれたし、
海の旅行でもなんで俺こいつに
こんな話してんだろ…って思ってた。」


あたしの方を向いてはにかんだ。


「海の時、思ったんだよ、
今まで彰達と居る時、あかねばっかり見てた事、
アイツらがあかねと喋ってた時に
胸の中でなにかがモヤモヤしてた事、
海旅行の日に彰とあかねが一緒に来て、
なんかイライラした事も。」


あたしがさっき胸が苦しかったのも…
この剣司くんの話と一緒…?


プレゼントを貰って嬉しかったのも
あのピンだからじゃなくてって事?


「海での和也の話をし終わった時、
風が吹いた事をあかねは
和也が応援してると
俺に笑顔で言った時に、
あかねを抱きしめずには居られなかった。
触れたいって思った。」


あ、あの時の…
それはあたしも覚えてるよ…
確かにあの時、剣司くんがいつもと違った。


話をしたからだとは思ってたけど…


「あかねの笑顔で全部の感情が繋がった。
心では抑えられなくなって、声に出さなきゃって
思った。」


それってもしかして…


「あぁ、俺、コイツが好きだったんだって、
初めて気付かされたよ。」


好きって…


あの時剣司くんが発した好きって言葉は
その時の雰囲気とかではなくて、
絞り出した気持ちだったって事…?


「なぁ、そろそろ気付いただろ?
俺に言いたいこと、あるんじゃねぇの?」


みんなにあたし達の話は出来ないって言われた時、
あたしは泣いた…
なんで?それは嫌だったから。
さっきも胸が苦しかった…
なんで?それは嫌だったから。
何が嫌だった…
それは剣司くんが離れて行く気がしたから。

剣司くんに傍にいて欲しかったから?
なんで傍にいて欲しいって思うのか…


そうなんだ、気付いた時、
剣司くんもこんな気持ちだったんだ…


口にすればたかが2文字。
みんなこんな言葉をなんで簡単に言えるんだろう。


あたしに嫌われてるかもしれないって思ったはず、
でも剣司くんは吐き出す勇気を持てた。
そしてそれはきっと後悔じゃない。
気持ちを言葉に出来たこと、
きっとそれだけで心が軽くなったんだろうな。


あたしはほんとに最低だ。


剣司くんはこの2文字をずっと待っていた。
その事に気づいて簡単に吐き出してしまいそうになった。


剣司くん、今なら…今なら言える。
剣司くんと同じくらい気持ちを込めて、
あたしもこの言葉を大事にしたい。


「剣司くん…聞いて下さい。」


剣司くんは飲んでいたコーヒーを起き、
あたしの方を向いて口を開いた。


「前に言ったこと、忘れるなよ。
無理に言おうとしなくていいからな。
ゆっくりでいいよ。」


あたしは深呼吸して、剣司くんと目を合わせた。


「あたし、剣司くんの事が…好きです。」


剣司くんは照れて顔を横に向けた。


「ごめん…いざ、聞くとなると…
結構恥ずかしいな…」


と言ってクスクスと笑っていた。


あたしも言い終わってから恥ずかしくなってきた…


「あかね、俺たち両想いになれたね。
俺、みんなに会ったら自慢するからな!」


満足そうな剣司くんの顔…


見てるとあたしも笑顔になる。


パフェも食べ終わり、
あたし達は家に向かって歩いた。


あたしの家の前に着くと、剣司くんは
あたしを強く抱きしめた。


「あかね、今キスしていい?」


好きって気持ちを知った今、
凄く恥ずかしい…


あたしは縦に首を振って
剣司くんの手に身を委ねた。


剣司くんもいつもと違い、
唇が近付いたところで動きが止まった。
唇には剣司くんの息が吹かかる…
剣司くんはゴクリと息を飲んだ…
緊張が伝わってくる…


剣司くんはゆっくりと唇を重ねた…
優しく、暖かい、剣司くんの唇。
好きな人からのキス…


「ヤバい…今日のキス…全然違うな…」


剣司くんはそういうと、再び唇を重ねた…


家に着いて、寝る前に
剣司くんの事を思い出していた。


家で1人で恥ずかしくなっていた。


すると横で携帯が…


音が短い…メールか。


彰くん!?


”明日10時に俺の家に来い。
森野もちゃんと連れて来いよ。”


え?どういうこと!?