雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(31話)

結局ほとんど寝れなかった…


無意識に唇を触っていた。


昨日剣司くんとキスしたの、
なんだか夢だったんじゃないかとか
思ってしまったり…


「あかねちゃん…
なんだか顔色悪くない?
もしかしてまた寝不足?」


ゆきちゃんが私の顔を覗き込み
心配そうな声で言った。


「昨日あんまり寝れなかったから、
少し休んでてもいいかな…」


3人は分かったと言って、
そのままあたしを置いて
食堂に向かった。


しばらく経って、
ようやく眠そうになった頃。


コンッコンッ!


ドアがノックされた。


誰だろ…


ドアを開けると剣司くんが
立っていた。


「寝不足なんだろ?
これ、食堂にあったパン。
何も無かったら腹持たねぇし
後で食っとけよ。」


「うん、ありがとう…」


そう言ってドアを閉めようとすると、


「あ…あのさ、、昨日の俺のせいで
寝不足…とか、、だよな…」


と下を向きながら
申し訳なさそうに言った。


「違うよ、ただ寝れなかっただけだから!」


確かにキスが気になって…
でもそんなこと言うと
気を遣わせてしまうもんね…


そういうと剣司くんは
深くため息をついて、
あたしの方を向いて笑顔になった。


「あのな、付き合ってんのに
気遣うなよ?素直に言っても
大丈夫だからな?
ってかこうやって喋ってたら
また寝れねぇから、俺もう戻るわ!」


そう言って剣司くんはそっとドアを閉めた。


あたしはそこから眠りについた。


しばらくすると、ゆきちゃん達が
帰ってきた。


結構深く寝れたみたいで
朝よりはスッキリしていた。


あたしもみんなと一緒に
海に向かった。


今日でこの海ともお別れ。


最後には全力で遊ぶぞ〜!


あれ?そういえば誠くんどこ行ったんだろ…


辺りを見渡すと砂浜に1人で…


え?なにこれ!


砂の城!?


と、言うか、砂の塔…


「ふぅ〜っ。やっとここまで出来た!」


細く縦に伸びたその塔は、
間の細かなレンガの模様?まで入っていた。
高さは30センチ程だが、
どーやって作ったんだろ…


「これね、濡らした土入れて、
この木の枝で、レンガの線入れて、
そこに乾いた土かけて、それを少し
削ったりとか…」


誠くんは凄く楽しそうに話した。


そういえば絵がうまかったな。
こういうの美的センスって言うのかな。


そこへ彰くんと瞬くんも来た。


彰くん…顔合わせずらい…


彰くんは誠くんの頭をくしゃくしゃっとすると、


「誠やるなぁ!凄いじゃん!
ただ、ずっと日向だと熱中症とかになるから
水分取りながら作れよ。」


今までの彰くんだ…


その後みんなと合流して、
海の家でお昼ご飯。


この焼きそばともお別れか…


やっぱり鉄板で食べる焼きそばって
格別なのよね…


「橘!それちょっとくれよ!
俺のお好み焼き分けてやるから!」


横から来たのは剣司くんだった。


あれ?今苗字で読んだ…?


ホテルへ戻り、部屋で帰りの身支度。


「森野って意外と気小さいね。」


かれんちゃんがボソッ言って、
みんながかれんちゃんを注目した。


「だってさ、あかねとのこと
みんなの前で言うのかな?と思ったら言わないし、
男子はどこまで知ってるのか分からないから
私たち何も言えないし、
かと思ったら橘って呼んでたし…」


それはあたしも思ったけど、
言っていいのか分からなかったから
そのままにしたんだよね…


というか付き合うっていまいち
何していいか分からないし…


まぁ、キスはしたけど…


ダメダメ、思い出したら
恥ずかしくなってくる…


その後、ロビーでみんなと
お土産を見たりしていると
バスが到着し、みんなで乗り込んだ。