雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(45話)

瞬くんは何がしたいの…?


私はベッドの上で考え込んだ。


お父さん。お母さん。
ごめん…あたし、何もできない…


明日も捕まえるの?


絶対無理なのに。


あたしがみんなに話せば…
でもそうなったらキスしたことバラされてしまう。


剣司くんを傷付ける訳には行かない…


どうしよう…


寝たいけど寝転ぶ気にはならなかった。


コンコンっ!


こんな時間に誰だろ…


「ごめん、俺…」


剣司くん!


なんで!まだ居たの?


あたしは扉を開けた。


「寝れなかったのか?」


あたしは剣司くんの胸に飛び込んだ。
剣司くんは優しく抱き締めてくれた…


「あかね…今日瞬と戻った時から
なんか変だぞ?何かあったのか?」


剣司くんは優しく頭を撫でながら言った。



あたしは答えたいけど何も言えない。


剣司くんの服を黙って握った。


「寝れるまで横にいてやるから、
落ち着けって!」
剣司くんは笑顔で言った。


あたしが寝転ぶと
剣司くんはベッドの横に座って、
あたしの手を握ってくれた。


そういえば、他のみんなはどうなったの?


あたしは剣司くんに聞いた。


「彰が瞬を問い詰めたけど、
瞬はやっぱり何も知らない。
たまたま逃げられたってだけで、
なんでそこまで言われるの?って
ちょっと怒ってたな。
まぁ彰もやっと理解したみたいだけど…」


彰くん、勘が鋭いな…


みんな瞬くんに騙されてる…


あたしは知ってるのに、
この事を口にすることは
許されない。


悔しくなってあたしの目から
涙が零れた。


剣司くんはその涙を唇で拭った。


「あかね、キスしていい?」


キス…


さっき瞬くんとした事を思い出す。


今このまま剣司くんとキスなんて…


「ごめん、今はできない…」


嫌いって訳じゃないけど、
どうしても抵抗がある…


「わかった。じゃあ無理しなくていいよ。」


剣司くんは左手で、そっと頭を撫でてくれた。


「考え事する癖無くせよ。
いつまで経っても、寝不足が続くぞ。」


あたしは優しく暖かい手の中で、
そっと眠りに付いた。



起きると、横では剣司くんが
寝ていた。


これはお母さんだろうか…


剣司くんには毛布がかけられていた。


あたしは剣司くんに気付かれないように、
そっと手を離した。


「ん…あ、もう起きたのか?」


起こしちゃった。


「昨日ずっとそこで寝てたんでしょ?
あたしもう大丈夫だから、ベッド使っていいよ!」


剣司くんは立ち上がって、


「いや、家に帰って少し寝てくる。」


剣司くんはそのまま家に帰って行った。


右手には剣司くんの温もりが残ってる。


あたしはこの温もりを裏切ってしまうのだろうか…


あたしはそのまま下に降りた。



リビングには既にお母さんが起きていた。


お父さんは仕事か…


「あら、あかねちゃん、やけに早いじゃない!」


昨日はよく寝れたからか
早く目が覚めた。


お母さん、今から仕事だね…


「お母さん、洗い物するから
ちょっとゆっくりしてから仕事行ってきてよ!」


え?いいの?と言って、
お母さんはソファに座った。


「あかねちゃん〜、座ったら立ち上がりたく
無くなりました〜!」


知らないよ笑


普通の家庭って感じだけど、
普通が1番だよね。




あたしの携帯がなった…


瞬くんからの電話!


「あかねちゃんおはよう〜!朝早いね〜!
突然だけど家に来てくれるかな?
駅まで迎えに行くよ〜!☆」


行きたくはない…


でもあたしには拒否することができない。


あたしは駅で瞬くんと待ち合わせすることにした。