雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(44話)

作戦2日目。


今日もまたみんな家に…


怪我が無かったらいいんだけど…



夕方。


みんなで家に集まる。


瞬くんは今日は外で見張る。
と、言っても隠れてるけどね。


あたし達4人は上の部屋で
外の様子を伺う。


「ねぇ!あたし瞬くんとこに行ってもいい?」


周りの3人は驚いた。


「あかね!んな無茶しなくていいって言ったろ!」


でも、相手の目的があたしじゃないなら、
きっとあの子もあたしは視界に入らないはず。


「最初の日、あたしはその子を見てる!
あたしが目的じゃ無かったから不意をついて、
腕を掴めたんだと思う!
なら、今回もそれで行けば…」


「いいだろ、白馬のとこに行け。
その代わり何かあったらすぐに連絡しろ!」


彰くん、ありがとう…


どうしてもあたしは確認したいの!



下に降りて瞬くんと合流。


「あれ?あかねちゃん、
降りてきて大丈夫なの?」


上で話した事情を説明した。


「わかった、じゃあ俺の前に出ないでね。
何かあったら守れないから。」


しばらく無音の時間が続いた。


30分程した頃。


誰かが近付く足音が聞こえた。


あの子だ!


思わずあたしは駆け出した。


「あかねちゃん、待って!!」


瞬くんの声を聞かず
あたしは男の子を追いかけた。


男の子も足は早かったが、
近所の公園の前で、バテたのか、立ち止まった。


「ねぇ、あの家に毎日来る理由を教えて!」


あたしは腕を掴み体を少し持ち上げた。


あれ?黒髪…


確かあの時は金髪だったはず…


しかも顔が違う。これはもしかして、
別人?


「あなた仲間がいるの?
前に見た時は金髪の背の高い…」


「あかねちゃん。」


後ろから瞬くんがゆっくり歩いてくる。
その目!


あたしは瞬くんが怖くなり、
後ろに下がった。


瞬くんに目を奪われてるうちに、
黒髪の男の子は走って逃げた。


しまった!!


「前に見た子の事、もう少し話してくれる?」


「待って!その前に彰くん達に状況を…」


あ!ちょっと!!


あたしは瞬くんに携帯を、取られた。


「大丈夫、今俺達は逃げたアイツを
探してる事になってる。急いで連絡しなくても
追って来ないよ。」


声が低い…


目付きが怖い…


瞬くん……



「で、前に見た時は金髪で、背の高い、
あとは?」


”瞬くんに似た子”


そんなこと、この状況では口に出せない。


「あとは…覚えてない…」


瞬くんは溜息をついて、
こちらに向かってきた。


「今日の事あいつらには内緒にしてね。
じゃないと、俺、あかねちゃん襲っちゃうから。」
瞬くんは笑顔になっていた。


「でも…みんなで捕まえるって言うのに、
報告はしておかないと…」

そう言うと、瞬くんはあたしを
後ろの木に押し当てた。


痛いっ!


瞬くんはあたしの耳元に顔を置き、
低い声で言った。
「ごめんね、俺、彰ほど生ぬるくないから。
ちゃんと内緒に、しないと、
どうなるか分からないよ?」


あたしは息を飲んだ。


「し…瞬くんは、、、何が目的なの?」
恐る恐る口を開いた。


「あかねちゃんは知らなくていい事だよ。
でもヒントをあげるとしたら、
目的はあかねちゃんであり、
あかねちゃんでない。かな…」


瞬くんはやっと顔を離してくれた…


と、思いきや。


瞬くんは唇を重ねて来た…


「これでおあいこ。もしあかねちゃんが
今日の事話したら、剣司にキスしたこと
言うからね?まぁそうなったら
ホントにあかねちゃん、どうなるか
分からないけどね。
さぁ、家に戻ろう…」
瞬くんはそっと手を差し伸べた。


いつもなら優しいこの手も、
今は悪魔の手にしか見えない…


家に戻ると家の前で3人が待っていた。
後ろにはお父さんとお母さん。


瞬くんは元通りになっていた。


「ごめん、また撒かれた…
ホント逃げ足早いし、すぐ見失う…」
瞬くんは申し訳無さそうに話す。


「まぁでも逃げられたなら仕方ないよ!
シロッち!たっちー!お疲れ様!!」



気が付いたらお父さんは
部屋の中に戻っていた。


お母さんが涙目に…


「あかねのバカ!!
お母さんになんでこんなに心配させるの!
あかねちゃんは大事な子なのよ!
男の子達をもっと頼りなさい!!」
お母さんはそう言ってあたしを強く抱き締め、
泣きじゃくっていた。


あたしもつられて、泣いてしまった。


彰くんがとても怖い表情で瞬くんに近づき、
瞬くんの胸ぐらを掴んだ!


「白馬!お前わざと逃がしてるんじゃないのか!」


確かに今日は逃がした…


あれ?昨日も1番に追ったのは瞬くん。


まさか2日連続で逃がした!?


最初の日に立っていたのは、瞬くん、だとすると、
その後に立ってたのは…


2日目には瞬くんはあたし達とずっと一緒に居た…
変わりの人は即席で立たせただけだとすれば、
瞬くんは逃がすために、作戦に参加してる…?


これじゃあいつまで経っても解決しない…


あたしじゃ、家族を守れない…


「………ね、……かね、…あかね!!」


はっ!


剣司くんに呼ばれていた事に気づかなかった。


「あかね走って疲れただろ?もう部屋で休んどけ。」


あたしは剣司くんに付き添われて、
部屋に帰った。