雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(59話)

花火大会当日。


待ち合わせの公園へ。


そこには修一さんと車椅子の…


さっちゃん!!


「貴子さん、お久しぶり!
相変わらずお元気そうね!」


さっちゃんは笑顔でこう言った。


でもあまり顔色が良くない…


「修一さん、少し貴子さんをお借りしますわね。」


そういうと修一さんは手を離し、
さっちゃんは自分で車椅子を漕いで
近付いてきた。
しんどそうに見えたので私は車椅子の
後ろに立った。


「貴子さん、花火大会まで
まだ時間がありますわ。
少しお散歩しませんか?」


しばらく歩くとさっちゃんは話始めた。


「その浴衣お綺麗ね。
どこでご用意されたの?」


これは修一さんに貰った浴衣…


って言っていいのかな?


「もしかして、修一さんですの?」


さっちゃんはクスクスと笑いながら言った。


「そ、、そうなの…」


すると私たちは公園の中にある
噴水の前に着いた。
私は昔のように噴水に腰掛けた。


懐かしいなぁ…


「貴子さん、覚えらっしゃる?
毎年この花火大会の時、
ここでお話してましたよね?」


覚えてる…


さっちゃん、休みがちでも
いつも花火大会に来てくれて、
ここで他愛もない話をしてた。


「貴子さん、もしかして
進路にお悩みですの?」


さっちゃんが私の顔を覗き込んだ。


悩んでるといえば悩んでるし…


今決まってないって相当問題だし…


するとさっちゃんは閃いたように言った。


「貴子さんには1番いい進路がありますわよ!」


私はさっちゃんの顔を見た!


何それ!私も聞きたい!自分の事だけど!


「昔ここでお話してた中に、
将来の夢についてお話した事があったでしょ?
貴子さん、なんてお答えになったか
覚えてらっしゃる?」


………



お嫁さん…



いやいやいやいや!


まさか修一さんのお嫁さんとか
言い出す気ですか?


「修一さんのお嫁さんになったらいいのですよ!」


あ、やっぱり…


待って!私まだ全然修一さんと仲良くないし、
修一さんだって私の事嫌ってると思うし…


「む、無理よ!
さっちゃんならまだしも、
私なんか好かれてすらないんだよ?」


さっちゃんはそのまま私の浴衣の袖を
ゆっくり持ち上げて言った。


「修一さんがこの浴衣をご用意されたのでしょ?
病院にいる時に、貴子さんの好きな色を聞いてきましたのよ。
私は桃色とお答えしたら、この浴衣も桃色ですし、
それに何より、私はプレゼントは
貰った事が無いのですよ。」


プレゼント貰った事がないの?


っていうか私の好きな色…


確かに私は桃色が好き…


「こうしてプレゼントをご用意なさった時点で、
貴子さんの事を好意に思ってるのは
間違いないですわ。
今日はしっかり修一さんと向き合って下さいね。」


知らなかった…


修一さん、何も言わないんだもん…


分からないよ…




私達は待ち合わせ場所に戻った。


修一さんはベンチに座っていた。


さっちゃんはお母さんがお迎えに来て
そのまま病院へ帰って行った。


私はそこから修一さんと花火大会へ
向かった。