雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(26話)

剣司くんの話に涙が溢れていた。


剣司くんはあたしの腰に手を当て、
そのままあたしを抱き寄せた。


「橘…俺…」

剣司くんはそのまま何も言わなくなった。


な、なんだろ…


剣司くんは静かに深呼吸すると、
あたしを見て口を開いた。

「橘…俺、お前が好きだ。」


え?



ぇぇぇぇ?



突然のことにあたしは何も言えなくなった。


剣司くんは見つめたまま
あたしの頬に手を当て
顔を近付けてきた。


あたしはびっくりして剣司くんを押しのけた。



「橘は俺の事、どう思ってるんだ…」


どうって言われても…


「いい友達だよ…?」


そういうと剣司くんは深くため息をついた。


「ダチじゃなくて、これからは
男として、俺をみてくれ。
それから返事をしてくれ。」


返事…


そもそも剣司くんはかれんちゃんの
好きだった人で…



男としてって、どう見たらいいんだろ…



「そろそろ部屋に戻るか。」


剣司くんはそういうと立ち上がり、
あたしの手を取り、立ち上がらせてくれた。


剣司くんはその手を離さず、
2人で部屋まで戻った。


部屋に戻ると、3人とも起きてた。

「あかねちゃん〜!見えてたよ〜!
剣司くんとどんな関係なんですかー?」

とゆきちゃんは取材のように手で拳を作り
あたしの前に差し出した。


「な、何もないよ!みんなと同じ友達だよ!」


あたしがそういうと、
目の前でかれんちゃんがため息をついた。


「あかね〜!もしかして私に気を遣ってる?
私は森野を好きだった。もう過去形だし!
あかねが幸せで森野も幸せならそれでいいの!
むしろ他の女子よりはこの仲良しメンバーで
ありがたいと思ってるくらいだよ!」


と言ってあたしの肩に手を当て、
にっこりと笑った。


「マリナは先輩だよ!なんでも相談して!
っていうか2人はいつからだったの?」


マリナちゃんの発言に違和感を感じた。


あれ?もしかして付き合ってる事になってる?


「あれ?えっと…さっき剣司くんに
告白されたところで…
友達としてじゃなくて男として見て
返事してって言われたんだけど…」


3人はすごくびっくりしていた。


「え?じゃあ付き合ってないけどキスしたの?」


マリナちゃんが食い気味で聞いてきた。


キスなんてしてない!!


されそうだった?かもだけど…



「してないよ!顔近付けられて
ビックリして押しのけたけど…」



なーんだ、と言われてないけど
言われてそうな空気…



「ゆき、そろそろ眠たい…」



あ、そうだよね、みんな寝よう…


電気を消して寝床につく。


まぁあたしは寝れる訳でもなく…