雪乃小説館

不定期で更新します!現在は白と黒の子守唄を更新してます。

白と黒の子守唄(13話)

数日後…


1人で歩いて通学。
でも今までとは違って
学校に行けばみんなと会える。


毎日が楽しい。


でもこの前の彰くんの1件でも思ったけど、
あたしってみんなのこと、全然知らないな…


そういえば…


剣司くんの好きな人って誰なんだろ…


まぁどうでもいいや…


休み時間、中庭に行くと、
誠くんがベンチに座っていた。


覗いて見ると絵を書いていた。


見にくいので覗き込んでると、
「あ!タッチー覗き!!えっち!!」

いや、絵を見てただけなので…


いつも1人で書いてるのかな…


そういえば最近仲良くなった人で
誠くんだけクラス違うんだよな…


みんなと居ると楽しそうだけど
普段クラスではどんな風に過ごしてるんだろ…


「誠くんって絵描くの好きなの?」


と、聞くと

「ん?全然!」

え?


でも凄い上手いんだけど…


「やること無いから書いてるだけだよ」


と言って絵を描きすすめた。


もしかしてクラスに友達少ないのかな?
まるで中学までの私みたい。


「やる事ないならみんなのとこに行かない?」

と、言うと

「今はいい。ここに居る。」


なんだろ、どことなく寂しそう…



あたしは先に教室に戻…る前に


隣の教室を覗いて見た。


ここも同じようにワイワイと騒いでる。


誠くんなら馴染めそうな気がするのに…


あたしは自分の教室に戻った。



授業開始を知らせるチャイムがなり終わる頃。


「てっめぇ!!ふざけんじゃねぇ!!!」

「(ガッシャーン)」


何かが割れると共に、叫び声が聞こえた。

剣司くんの声だ…



慌てて彰くんは廊下に飛び出す。


剣司くんは1人の男の子の胸ぐらを掴み
今にも殴りかかりそうな空気…


慌てて瞬くんと彰くんが剣司くんから
男の子を離し、剣司くんを抑えた。


「次やったらマジでぶっ殺すからな!!」


男の子は逃げるように隣のクラスへ戻った。

剣司くんも落ち着きを見せ、教室に戻る。


怖かった…


クラスの女子達は剣司くんを避けるように立ち上がった。


すると彰くんが剣司くんを座らせ、
胸ぐらを掴んで叫んだ

「何やってんだ!お前回りみろって言ってんだろ!
何があったか説明しろ!」


「お前に話すことはねえよ…
俺の勝手だ!!」


彰くんは納得いってない。


横から瞬くんが
「う〜ん、剣司くん少し頭に熱出てますねぇ〜、
保健室着いてくので少し休みましょうか〜」

と言って瞬くんは力ずくで剣司くんを引っ張っていった。


瞬くんも怒ってるのかな…

彰くんも後を追って行った。


あたしも気になり後を追う。



保健室に着くと、既に1人の生徒が治療を
受けていた。

誠くんだ…


口元は切れてるようで血が垂れていた。


何があったの…



剣司くんは誠くんを見るなり
「誠、お前は無理すんな
アイツには俺が仇打ってきたから!」

さっきの男の子の事だろうか…



「モーリー、そんなことしなくても
僕大丈夫だよ?」
誠くんは少し目の腫れた顔で
頑張って笑顔を作り、剣司くんへ向けた。

剣司くんは目を逸らして下を向き、
下唇を強く噛んだ。



彰くんと瞬くんはその場を横で見ていた。


「山神、俺達を頼れ。1人で戦おうとすんな!」

壁際から彰くんの声。


誠くんは下を向き、泣き出した。

「僕はみんなと仲良くしたいんだ。
みんなが僕で遊んでるだけだから、
いつかみんなと仲良くできるって思ったら
我慢出来る。だから何もしないで…お願い…」

そんなの…

心が苦しくなる…


剣司くんは我慢の糸が切れた。
「だったら俺らも殴ってやろうか?
殴られてダチになる?一方的なのは
ただの暴力だろ!そんなもんやり返せねぇから
相手がエスカレートすんだよ!」

と、剣司くんは言い放った。
力が抜けたかのように
誠くんの前に膝をついて、
誠くんの膝へ顔を下げた。

剣司くんが静かに話し出した。
その声は震えていた。

「イジメは相手の好きにさせれば何も言われない。
ただ、それで追い込まれるのは誠自身だ。
俺達は誠を支える事しかできないのなら
何も出来ないのと一緒だ…
頼むから…頼む…から…自分を責めて…
誠まで消えるなんて…
やめてくれよ…」

剣司くんは泣いていた。

誠くんは剣司くんの頭に優しく手を置いた。

「ごめんね、モーリー。僕消えたりしないよ。
モーリー達に迷惑かけたくないだけなんだよ。」

剣司くんは静かに立ち上がり、
保健室を後にした。

「山神、そろそろ吐いてくれ。
俺達はダチをこんな風にされて
黙ってられるほどお人好しじゃねぇ。」

誠くんは少し下を向いて、
顔を上げて話し出した。